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ドイツ生活で円満家庭に

H・Y(48歳 女性 島根県)

円満とは言い難い日々

平成17年から20年までの3年間、主人の転勤に伴い、息子と3人でドイツのデュッセルドルフ市で暮らしました。

ドイツに行く前のわが家は、残念ながら極楽と言える状態ではありませんでした。

結婚前から英語教員として働いていた私は、出産後の1年間の育児休暇を除いて、フルタイムで働いていました。

商社マンである主人の仕事は極めて多忙で、帰宅が午前0時を回ることもよくありました。私が長男を出産する頃は、主人の仕事量がピークで、家庭の事情を考慮してもらえる環境ではありませんでした。

そして7年前、主人の両親と一緒に暮らす二世帯住宅を建てて住み始めると、私の心はいつも周囲に対する不満だらけになりました。

主人の両親に感謝する心が足りず、主人に対する気持ちも冷たくなり、円満とは言い難い夫婦仲になっていました。

主人はドイツへ、私は体調不良に

そんな同居生活が始まって1年半ほど経った平成15年、突然、主人の海外赴任が決まりました。

夜中に帰宅した主人が、子どもと一緒に寝ている私にそのことを告げたのですが、私は気のない返事をして、また眠ろうとしました。

その頃の私は、感情を表さない習慣ができてしまっていたように思います。

すれ違いの生活を送っていたこともあり、主人は1人でドイツに赴任しました。

ところが、主人が赴任してまもなく、私は体調を崩して1ヶ月ほど仕事を休むことになりました。

弱気になった私は、どうしていいか分からず、念法寺の住職先生に相談させてもらいました。

先生は、私の話を親身に聞いてくださり、「明るい自分にならせてもらえるよう、仏様に毎日お願いしましょう」と優しく諭してくださいました。

そして先生は、主人は全く知らない土地で1人で慣れない生活を送って苦労していること、家族は一緒に暮らした方が良いことなどを強調され、病気全快と家庭円満のご祈願をするように勧めてくださいました。

新制度を利用して家族揃ってドイツへ

その後、ひたすら仏様にお願いし、念法のご眞言をお称えする日々を続けると、おかげさまで体調は徐々に良くなっていきました。

そして、長期の休暇が取得できる「無給休暇」という制度が新たにできたことを知りました。

その頃には、「家族揃って暮らすことが仏様の御心にかない、それが自分や家族の幸せにつながる」と思うようになっていたため、早速、校長先生に相談しました。

そして、主人と相談の上、1年後から3年間、ドイツ語習得と異文化体験を目的に、休暇を取らせてもらうことになったのです。

主人の海外赴任が数年早かったら、この無給休暇制度はなく、家族3人揃ってドイツで暮らすことはできなったのですから、このタイミングを仏様が用意してくださったのだ、と感謝しました。

小学生だった息子は最初、環境が変わることを嫌がりましたが、主人からドイツの事情を聞いて少しずつ気持ちが変わり、ドイツでの生活を楽しみにするようになりました。

初めてできた家族の時間

私と息子は、主人に2年遅れでドイツに渡り、家族3人での海外生活が始まりました。

息子は日本人学校に通いましたが、給食がないので、毎日お弁当を作らなければなりません。

最初は1時間以上もかかり、おかずを作りすぎたりしていましたが、半年も経つと慣れてきて、主人の分も含め、2人分のお弁当を毎朝作るようになりました。

主人は日本にいたときとは違って帰宅が早く、家族揃って夕食の食卓を囲みます。

夕食までの時間、近くの公園で子どもとキャッチボールをすることもありました。

日曜日になると、どこもお店が閉まっていて、買い物に出かけることもなく、家族が一緒に過ごすことができました。

家でのんびりしたり、散歩に行ったり、日本ではほとんど行けなかった旅行にも、3人で出かけることができました。

ドイツでも教えを実践

ドイツにいる間、私は毎朝「今日一日家族をお護りください」と仏様、親先生にお願いしていました。ドイツに行く前からさせてもらっていた、お供養も続けました。

また、念法の機関誌『鶯乃声』や『念法時報』を送っていただき、楽しみに読んでいました。おかげで、ものの受け取り方を学び、仏様に明るく変えていただくことができました。

日本ではすれ違いの生活だったので、主人に「おやすみなさい」と言うことはありませんでしたが、朝晩の挨拶を実践させてもらうようにすると、家族の会話が増え、心が通じ合うようになっていきました。

すると、主人が職場での人間関係について家で話すようになり、息子も学校で似たような体験をしていたりして、家族で同じ思いを共有することもありました。

このように、ゆったりとした生活を送るうちに、だんだんと家族の絆も強まり、主人への尊敬の念や愛情が育まれたと思います。そして、これまでの自分を振り返り、悪かった点を認めることができるようになりました。

仏様のお導きに感謝

あっという間に3年が過ぎ、私と息子はこの春に帰国しました。主人も一時帰国しましたが、再びドイツに発ちました。

主人が出発した後、心にぽっかり穴が開いたような淋しい気持ちになりましたが、主人も同じ思いをしていることが分かりました。

辞令はまだですが、あと数ヶ月でもとの東京本社に帰る運びになっているようです。

私は4月1日から県立高校に職場復帰しました。

ここは外国語教育と国際交流にとても力を入れている高校で、英語のほかに第二外国語もあります。

私は英語教諭ですが、ドイツで語学学校に通って勉強したことで、ゆくゆくはドイツ語の授業も担当することになりそうです。

主人のドイツ赴任は、すれ違いだった私たち家族の絆を強めただけでなく、新しい仕事の機会も与えてくださり、私を救ってくださる仏様のお導きだったのです。本当にありがとうございました。