お寺で聞くお話は成長の糧
C・K(30歳 女性 大分県) |
後悔の涙が止まらない私
障害者施設で介護の仕事に就き、一人暮らしを始めて9年になります。
就職した当初は仕事も順調で「自分の力で生きている」と思い、ずいぶん気ままに自分中心の生活を送っていました。
そんなある日、職場での私の一言が、利用者のAさんを怒らせることになってしまいました。
Aさんに何度も謝罪し、話し合いましたが、許してもらえません。それどころか、他の職員を巻き込んでの難題を突きつけられ、私は途方に暮れていました。
そして、毎日のように話し合った結果、「それでAさんの気持ちが晴れるのなら」と、難題を受け入れることに決め、実行する日を約束しました。
ところが、約束の日の朝、Aさんは亡くなってしまったのです。
私はそれまで毎日のようにAさんを怒らせていたため、「心が晴れないまま亡くなられたのでは」と悔やみ、涙が止まりませんでした。
思い出した大切な言葉
それからは、眠れぬ夜を明かしては「お寺に行くしかない」と朝勤行に参拝し、そのまま出勤する日が続きました。
参拝を続けるうちに、泣いてばかりだった私の気持ちも少しずつ楽になり、眠れるようになっていきました。
気持ちが落ち着くと、Aさんがいつも涙ながらに、真剣に教えてくれたことを思い出しました。
「誰が聞いているか分からないから、悪口は言わないこと。相手の気持ちになって仕事をすること。身だしなみをきちんとすること」そして最後に決まって「あなたは必ず変われるから。そうでないなら、わざわざ言わない」と言ってくれたことです。
私は、その言葉を紙に書いて日々戒めとすることがAさんへの答えだと思い、実行しました。
Aさんと出会うことでお寺に足が向き、自分の欠陥に気付いて、仕事で実践することができ、心も体も楽になっていったのです。
すべては仏様のおはからいだったのだと、今になって思います。
お寺でのお話に気付かされた
それ以来、お寺の行事や研修会で聞かせていただくお話が、職場での私の問題に当てはまっていることに気付くようになりました。
例えば、人から「要領が悪いね」と言われ、住職先生に相談すると、「相手がしてもらいたいことを真っ先に、相手の気持ちになってさせていただくことが大切ですよ」と教えてくださいました。
それまで私は、要領が悪いのは元々の性格のせいだから仕方ない、と諦めていましたが、教えていただいてからは「相手のことを考えていなかった。自分が正しいと思い込んでいた」と反省し、相手の気持ちになってさせていただこうと心がけるようになりました。
また、職場で利用者の方と話している時、「あなたはいつも話の途中で腰を折るから、もう何も話したくない」と怒らせてしまいました。
その時、「目上の人の話は、途中で違うと思っても最後までよく聞き、よく味わった上で意見するように」という研修会での話を思い出しました。
すぐに利用者の方に謝罪し、よく話を聞いたら、その方の優しさが分かり、それまで以上に尊敬することができました。
仏様が教えてくださる
それからは、お寺の行事や研修会に参加する時には必ず「1つでも教えが身につきますように」と仏様にお願いしています。
それでも分からない時は「仏様、私に分かりやすく教えてください」と再度お願いすると、誰かの言葉や行動で教えてくださいます。
そして、分かったら、仏様に感謝して実行し、忘れないようにしています。
すると「お寺に行き始めて、言葉遣いが良くなったね」と褒められたり、利用者の方から声をかけられたりするようになりました。
また、お寺でご親教があった時、配膳係のお役をいただいたことで気付かされたこともありました。
職場で毎朝、60名の方にお茶を注いでいるのですが、以前はスピード重視で、ただこなせばいいと思っていました。
それが、配膳係をさせていただいてからは、「皆さんが今日一日、元気で過ごせますように」と、心を込めるようになりました。
ドアが次々と開かれるように
3年前に得度を受けてから、急にお寺の行事や青年会に参加できるようになり、お役をいただくことも増えました。
住職先生はいつも「お役はありがたいですよ。自分では無理と思うことでも『はい』と受けさせてもらっただけで、すでに一歩進んでいるのです」とおっしゃいます。
その言葉を聞いて、自分なりにお寺のことをし始めたら青年リーダーのお役をいただき、お役に専念していたら行事や青年会の日は仕事が休みになるなど、まるでドアが次々開かれるように参加できるようになったのです。
また以前、自分の悪口を聞いて辛い思いをした時に、陰徳を積むことの大切さを教わってからは、辛かったりイライラしたりすると、トイレ掃除をさせてもらっています。
最初は泣きながらしていましたが、今では「自分の悪いところを言ってもらえてありがたい。聞けてよかった」と思えるようになりました。
このように、お寺でのお話や体験は、すべて自分の成長につながっています。これからも仏様に感謝し、日々教えを学び、実践していきたいと思います。