読込中

全国仏教者による戦没殉難者慰霊法要

こんにちは、こころです!私は今、東京に来ています。今回は、いつもの念法さんの行事ではなく、全国から仏教者の方々が参加される大きな行事だと聞いて、ちょっと緊張しています。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑
やあ、こころちゃん。今年で2回目となる「全国仏教者による戦没殉難者慰霊法要」では、宗旨宗派を超えて集まった全国の仏教者が、千鳥ヶ淵戦没者墓苑と靖國神社で慰霊法要を行うのですが、これは極めて異例なことなんです。
えっ、どうして「極めて異例」なんですか?
靖國神社
靖國神社には、いわゆる「A級戦犯」が祀られていることを理由に、内閣総理大臣や閣僚の参拝に反対する意見がありますが、仏教界にもそのような意見に同調し、靖國神社への公式参拝に反対する宗派や団体があるのです。その一方で、「国のために亡くなられたご英霊の方々に純粋に感謝と慰霊の祈りを捧げたい」と願う仏教者も非常に多く、終戦70年を迎えた昨年、世界連邦日本仏教徒協議会と関西宗教懇話会が広く呼び掛け、共催することにより、初めて「全国仏教者による戦没殉難者慰霊法要」が実施されたのです。
共催の2つの団体は、どういう団体なんですか?
ニューヨークに本部がある「世界連邦」は、世界がひとつの連邦国家のようになって世界平和の実現をめざす運動をしていて、27か国が加盟しています。日本には、「世界連邦推進日本協議会」があり、その傘下に「世界連邦日本仏教徒協議会」などがあります。 念法眞教は昭和45年に加入し、親先生が顧問に就任されるなど、古くから深くかかわっているんですよ。もう1つの「関西宗教懇話会」は、昭和51年の「日本を守る会・関西大会」をきっかけに昭和52年に発足した、宗旨宗派を超えた勉強会です。「日本を守る会」は、昭和49年の発足時に親先生も発起人に名を連ねられた団体であり、そのご縁もあって、関西宗教懇話会の事務局は念法が務めさせていただいています。
親先生が結ばれたご縁が、今も長く続いているんですね。

親先生と靖國神社

昭和51年5月4日、靖国神社に正式参拝された親先生(左は三代燈主様)
第一次世界大戦に出征され、戦友を亡くされた親先生。ご法話ではいつも戦友の歌を歌われ、涙を流されて、こうお諭しになりました。「兵隊さんたちは、国の平和を守り、国民の幸福を護るために、可愛い妻や子を残し、大切な事業も捨てて戦争に行ったのや。そしてみな口々に『靖國神社で会おう』という合言葉のもとに護国の人柱となったのや。このことを思うと、日本人みんなで靖國神社へ参拝してお礼を申し上げるのは当然のこと。どうかみなさん、日本人であるなら靖國の英霊を大切にしてください。おたのみ申します」
同日、池田権宮司に見送られて靖國神社を出発される親先生
私たち念法信徒は、このお諭しを深く胸に刻み、末永くご英霊への感謝と慰霊の祈りを捧げ続けていかなければなりません。
叡南覺範天台宗毘沙門堂門跡門主
さあ、開会です。まず、世界連邦日本仏教徒協議会会長、関西宗教懇話会代表幹事であり、この慰霊法要の実現に尽力された、叡南覺範(えなみかくはん)天台宗毘沙門堂門跡門主があいさつに立たれ、「論争や批判から平和が生まれるでしょうか。仏教には『怨親平等』(敵も味方も同じように処遇すること)という言葉がありますが、恩讐を超えたところにこそ平和はあると私は信じます。この慰霊法要は、世界平和のために恩讐を超える実践行なのです」とのお言葉がありました。いよいよ9宗12派の約30名の僧侶をはじめ、政界など各界から参加された総勢約120名による慰霊法要へと出発です。
私も参加させていただけるなんて、身が引き締まる思いです。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑
まず、千鳥ヶ淵戦没者墓苑に向かいます。僧侶の方々を先頭に整然と列をなして、戦没者の遺骨が納められた六角堂へと入場。小池弘三(こいけこうさん)真言宗須磨寺派管長が導師を勤められ、慰霊法要が厳かに執り行われました。
慰霊法要
千鳥ヶ淵戦没者墓苑は、大東亜戦争において海外で亡くなられた戦没者のご遺骨を納めるために、昭和34年に国が建設した「無名戦没者の墓」。昭和28年以降に政府の遺骨収集団が収集したものや、海外から帰還した部隊や個人が持ち帰ったもので、ご遺族に引き渡すことができない、累計36万4,896柱が奉安されています(平成28年5月30日現在)。
今日は雨が心配される予報だったのに、雲ひとつなく晴れ渡って日差しがまぶしいほど。慰霊法要を心待ちにされていたご英霊の方々が、雨雲を吹き払ってくださったのかもしれません。
靖國神社
続いて靖國神社に移動しました。靖國神社は、「国家のために命を捧げた人々の御霊を慰め、その事績を後世に伝えよう」との明治天皇の思し召しにより、明治2年に東京招魂社として創建。明治12年に靖國神社と改称され、終戦後は国の管理を離れて一宗教法人として、幕末以降の各戦で散華された246万6千余柱のご英霊をご祭神としてお祀りしています。
徳川康久宮司
ここでも僧侶を先頭に一列になって参道を進み、拝殿前で1人ずつ一礼をした後、参集殿の控え室に入場。そこで、靖國神社の徳川康久宮司から「国家のために亡くなられた方々を慰霊するのは、国も宗教も民族もなく、当然のこと。靖國神社に仏教界の皆様をお迎えして法要を行っていただくことも、ごく自然な慰霊のひとつだと理解しています。こうして2年続けて法要をしていただき、ご祭神もさぞかしお喜びのことと思います」とお言葉をいただき、いよいよ法要が行われる拝殿へと向かいます。
修祓の儀
拝殿では、神職による「修祓の儀(しゅばつのぎ)」が行われ、参拝者一同が祓い清められます。そして、小池弘三師の導師で慰霊法要を厳修しました。法要後は、僧侶と一般の二手に分かれて本殿に参拝。それぞれ代表者12名が玉串奉奠をして、ご祭神である246万6千余柱のご英霊に、感謝と慰霊の誠を捧げました。
慰霊法要
靖國神社の拝殿、本殿に初めて参拝させていただき、緊張しましたが、ご英霊の方々にちゃんと感謝と慰霊の思いをお伝えすることができて、心が洗われたような清々しい気持ちになりました。
桶屋良祐教務総長
慰霊法要終了後の閉会式では、関西宗教懇話会の事務局長を務める桶屋良祐教務総長が閉会の詞を述べられました。「宗教は本来、一人ひとりを幸せにするためにあるもので、宗旨宗派のためにあるものではありません。こうして宗旨宗派を超えて手を携え、慰霊法要ができたことは、本当にありがたいこと。これからも、ご英霊の方々のお心を素直に感じ、純粋な祈りの供養ができますよう、お力添えをお願いいたします」
「英霊を大事にするように」という親先生のお諭しは知っていましたが、今回の慰霊法要を経験したことで、その意味を体で感じ、ご英霊の方々への感謝の思いを新たにすることができました。これからもこの慰霊法要が続き、誰もが素直な気持ちで靖國神社に参拝できるようになってほしいですね。