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青少年得度授戒式(せいしょうねんとくどじゅかいしき)

こんにちは、こころです。今回は子どもたちが主役ということで、北は北海道から南は沖縄まで、たくさんの子どもたちが集まっていますね。ところで、この「得度授戒」とはどういう儀式なんですか?
得度授戒
得度授戒
得度授戒とは、仏様より戒律(かいりつ)を授かり出家して僧になるための儀式なんですが、念法では在家のままでも、この得度を受けられるんです。今回の青少年を対象にした得度授戒でも、子どもたちがこれまでの行いを悔い改め、「心の出家」をすることで、仏様の子として守ってもらえるようになる、一種の船出式なんですよ。
子どもたちが今よりも、もっと幸せに暮らせるように、仏様の子に生まれ変わることができる2日間なんですね。
説戒中の風景
説戒中の風景
式の流れとしては、初日にまず念法の教えを学ぶ「説戒 (せっかい)」を受けてから、「懺悔(ざんげ)作法式」に臨み、 2日目に「授戒式」、「お礼護摩」と進んでいきます。
「説戒」が終わり、みんな祈願本堂に移動していきますよ。

1日目~懺悔作法式~

乳木と子ども
乳木と子ども
祈願本堂は立教祭の法要の際にも使われていましたが、本当に荘厳で思わず息をのみますね。初めて入る子どもたちも、ちょっ と緊張しているみたい。お堂の入り口で、子どもたちが木片を胸のところに入れてもらっているようだけど、あれはなんですか?
乳木(ちちぎ)
乳木(ちちぎ)
あれは乳木(ちちぎ)と呼ばれていて、子どもたち自身を表すものなんです。懺悔作法式では、懺悔文(さんげもん)というお経を唱え、これまでしてきた悪い行いを反省するのですが、この汚れた心を乳木に移し、明日のお礼護摩で燃やすんですよ。子どもたちの白装束でも表しているように、得度で乳木を燃やす行為は、いわばお葬式の意味があるんです。昔の自分を捨て、仏様の子として生まれ変わる、そのために乳木が身代わりになってくれるんですね。
授戒式の様子
授戒式の様子
子どもたちが懺悔文を唱え出しましたね。まだ、たどたどしくて、先生たちと少しズレちゃったみたい。
懺悔文
懺悔文
懺悔文は、大人になると一日一日の懺悔の意味を込めて、日常的に読むお経でもあるんですよ。
お経を読むことで日々の反省を習慣にしているんですね。子どもたちもこれで、明日の授戒式にキレイな心で臨めるかな。

まめ知識その1

みんなの持っている念珠(ねんじゅ)、私の家にもあるけど、長さや飾りが違うみたい……?
念珠
念珠
念珠はもともと人間の煩悩を表す108の玉で作られており、念珠を持つことで常に自分を戒める意味があるんですね。また、円形をしていることから、円満や和合を表すともいわれています。特に、念法の念珠には親玉という穴のあいた大きな玉が2つあり、その穴を覗くと、ご本尊と親先生の姿が見えるようになっているので、いつでもそばで見守っていてくださるという安心にも繋がっています。

2日目~授戒式・お礼護摩~

今日はいよいよ授戒式ですね。授戒式も祈願本堂で行うと聞きましたが、昨日とは違い、仏様のいらっしゃる内陣に上がって、何か特別な儀式を行うのだとか……?
内陣へ進む子ども
内陣へ進む子ども
はい、そうです。在家信徒の方が内陣に上がれるのは一生に一度、授戒式の時だけです。それくらい神聖な場なので、まずは一 人ずつお香で体を浄(きよ)めます。そして、白幕をくぐり、内陣の中で「灌頂(かんじょう)」という儀式を受けるのですが……。そこで行われる内容は残念ながらご家族の方にもお見せすることができないものなんです。
授戒の様子
授戒の様子
えーっ、そうなんですか。それくらい神聖なものなんですね。少し落ち着きのない様子で幕をくぐっていった子どもたちが、しゃんと背筋を伸ばして誇らしげに出てくるのを見ると、中では、きっとありがたい体験ができるんだろうなあ。子どもたちがみんな内陣から出てくると、伝戒師さまとの問答が始まりましたよ。
はい。これは、仏・法・僧を信じて生活する「帰依三宝(きえさんぼう)」や、人として生きる誠の道を説いた「五聖訓」の教えを「戒」として授け、子どもたちはその戒律を守っていくという誓いを立てているんです。
その2つを授かるのが「授戒」なんですね。特別な儀式や授戒のおかげか、念法眞言を唱える子どもたちの声からも、真剣さや決意めいたものが伝わってきた気がしました。

まめ知識その2

得度袈裟得度袈裟
そういえば、白幕から出てきた子どもたちは、肩に何か掛けていますが、あれは何ですか?
五条袈裟
五条袈裟
あれは袈裟の一種です。袈裟とは、タイやチベットなどの僧が体にまとっている衣から派生したもので、縫い合わせた布の形から五条袈裟や七条袈裟などがあり、日本や中国では、僧の位を表すものとして用いられてきました。子どもたちが授戒式で授けてもらった得度袈裟は、もっとも簡略化されたもので、得度授戒者の証なのですよ。
真っ暗な中に内陣で燃やす乳木の炎が浮かび上がりました。
護摩の火
護摩の火
はい、内陣での護摩はこの法堂で光を遮って行っています。ただ、得度の際に護摩をするのは、念法独自のものなんです。出家の際には剃髪(ていはつ)を行いますよね。その代わりに、護摩修法という形で、祈りや覚悟を仏様に届けているんですね。
経本を手に読経
経本を手に読経
なるほどー、在家でも得度授戒が認められている念法ならではの儀式ですね。火を囲みながら、お坊さんたちが色々なお経を唱えているようですが、子どもたちも経本を手に、見よう見まねで拝んだり、一生懸命にお経を目で追いかけていますね。慣れない正座で足がしびれちゃった子もいるみたい。
今回の儀式はどれも、「仏縁を深める」ということが大事なので、式やお経の意味は全部理解できなくても、仏様の心や祈りの力など、子どもたちなりに何か感じるところがあれば、きっと意味のある体験になったのではないかと思います。
さて、式もそろそろ終わりに近づき子どもたちの長い2日間が終わろうとしています。子どもたちの顔を見ても、最初の頃と比べて、少し凛々しさが出た気がしますね。