立教祭
今から82年前の大正14年8月3日、親先生の夢枕に久遠実成阿弥陀如来(くおんじつじょうあみだにょらい)様がお姿をあらわされ、「信仰の立て直しによる世の中の立てかえをする」と霊告をお授けになられました。そうして親先生が念法眞教を立教されたことから、教団ではこの日を「立教開宗の日」と定め、毎年8月3日に立教祭をお勤めし、ご本尊様の恩に報いて現世界極楽浄土建設への誓いを新たにしています。
おねり~廿五菩薩おねり供養・稚児行列~
ご本尊の阿弥陀如来様が極楽からお迎えにきてくださるとき、廿五菩薩(にじゅうごぼさつ)を引きつれておいでになり、私たちを極楽浄土へと導いてくださいます。おねりは、そのときの様子をあらわしたもので、参加した人はもちろん、行列を拝んだ人も極楽往生(おうじょう)できるといわれています。
台風の影響でどんよりとした曇り空。私は雨が心配でカサを持ってきたんですが、おねりが始まる午前8時前になると、まるで立教祭を祝うみたいに雲の切れ間からまぶしい夏の太陽が顔を出しました。
おねりというのは、阿弥陀如来様にお仕えする廿五菩薩の姿をして練りあるく供養(くよう)行列だと聞いていたのですが、私は見るのは初めて。行列の通り道にはお迎えする信徒の皆さんがずらりと並び、そのいちばん後ろでワクワクして待っていると……。あ、みえました。花車を先頭に、露(つゆ)払い、先達(せんだち)、仏旗、教旗がつづいています。露払いの人が持っているのは、上に金属の環(わ)がついた錫杖(しゃくじょう)という杖で、地面を突いて環を鳴らすことで、あたりを浄(きよ)めているのだそうです。そのあとには全国の支部の旗、支部旗がずらり。北海道から沖縄まで、全部で81も支部があるんですって。だからこんなに長い列がつづくんですね。
次は子どもたちの稚児(ちご)行列。手には蓮の花を持って、女の子はキレイにお化粧してるし、男の子も凛々しくてカッコいい!私も小さいころに参加したかったなぁ……。
愛らしい稚児のあとは、笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、横笛などで雅やかな音楽を奏でる楽人(がくじん)、そしていよいよ廿五菩薩の登場です。金色のお顔と光輪がきらきらと輝いて、本当にこの世のものとは思えない美しさ。レポートするのも忘れて見とれてしまいました。気がつくと目の前には白装束の方々にかつがれた灯主かご。かごの前には裃姿(かみしもすがた)の方がいて、おかごをお守りするようにゆっくりと通り過ぎていきます。そのあとに役員裃、主管者、そして最後尾の花車まで、長い長い列がおごそかにつづいていきました。
おねりの行列は最後に拝殿前広場に並び、大勢の信徒さんたちと一緒に立教を祝って万歳をして終わりました。行列の時間は約1時間で、暑さの中を歩いた方々は大変だったと思いますが、見ていた私にとっては、あっという間のできごとに感じられました。
まめ知識
たくさんの菩薩様は、一人ひとり違いがあるの?
25人すべてお顔も持ち物も違っていて、それぞれの役割をもっていらっしゃるんですよ。例えば観世音(かんぜおん)菩薩様は、阿弥陀如来様を脇からお助けする脇侍(わきじ)の役割で、浄土へ行く人を乗せる蓮台(れんだい)を持っています。また、地蔵菩薩様だけは、冠(かんむり)やブレスレットなどの派手な装飾品を身につけず、錫杖と宝珠(ほうじゅ)だけを持った、サッパリとしたお姿が特徴ですね。
法要~立教82周年報恩大法要~
立教82周年報恩大法要は、祈願本堂で行われました。ご本尊様の前には、灯主様をはじめ、住職さんや主だった方がお入りになり、その後ろに約800名の信徒代表の方々が座りました。また、法堂には、本堂に入りきれない約2500人の信徒さんたちが、本堂の様子を映し出す大きなスクリーンを見つめて、法要の開始を静かに待っています。
立教祭の法要は、ご本尊様とのご縁をいただいたことに感謝し、そのご恩に報いて現世界極楽浄土建設への誓いを新たにすることを目的としています。法要が始まると、まず阿弥陀如来様や諸仏、諸菩薩様に入場をお願いする四奉請(しぶじょう)というお経を上げ、法要の趣旨を奉(たてまつ)る表白(ひょうびゃく)につづき、全員で阿弥陀経を上げ、最後に念法眞言(しんごん)を唱えます。
お経が始まると、法堂の信徒さんたちが続々と本堂にきて、順に参拝して、また法堂に戻っていきます。信徒さんの列は法堂から本堂に延々と途切れることなくつづいています。私も法堂に行ってみましたが、本堂の3倍ほどもある大きな法堂が、日本全国から集まったたくさんの信徒さんたちで埋め尽くされていて、そのスケールにビックリ!ご高齢の方から若者や赤ん坊まで、家族みんなで参加している様子を見て、次は私も家族を連れてきたいなぁと思いました。
念法眞教では、家族が仲良くすることが大切だと教えていらっしゃるそうです。大勢の信徒さんたちが心を一つに合わせてお経を上げる様子を見ていると、全員が一つの家族のようで、何か大きなものに包み込まれるようなゆったりとした安心感がありました。極楽浄土って、もしかしたらこんな感じなのかな?
まめ知識
お経の途中でまいていた丸いものは何ですか?
あれは散華(さんげ)といって、仏様や菩薩様を道場にお迎えし、花をまいて道場を荘厳(そうごん)にして供養するための儀式(ぎしき)なんですよ。もともとは蓮の花びらなどの生花を使ったようですが、いつの頃からか、蓮の花の形をした色紙を代用することが多くなったようです。