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何事も明るく喜ぶ心に

T・M(52歳 女性 福岡県)

友だちの訃報を機に乳ガン検診を

昨年夏に友だちが乳ガンで亡くなったことをきっかけに、私にも乳ガンが見つかりました。それまで、胃や大腸の検診は何度も受けていたのに、乳ガンの検診は受けたことがありませんでしたが、訃報を聞いて胸騒ぎがして、急に検診を受ける気になったのです。

11月15日に、マンモグラフィーとエコーの検査を受けたところ、画像には影が映っていて、初期の乳ガンが疑われました。友だちが乳ガンで亡くなっているだけに、初期とはいえ「私も死ぬかもしれない。仏様、親先生、なぜですか。お手伝いも徳積みもしているのに」と不安になり、ショックで誰にも会いたくなく、帰宅すると布団をかぶって寝てしまいました。

18日にMRIの検査があるので、念法寺で病気全快のご祈願を申し込み、仏様に「ガンではありませんように」とお願いしました。しかし、この検査でも影が映っていたため、細胞を採取して検査することになりました。12月1日にその結果が出て、硬化性腺症との診断で、8ミリの腫瘍だということでした。ガンではなく良性だったと聞いて喜び、仏様にお礼をさせていただきました。

ガン細胞が見つかり落ち込む日々

その腫瘍を取る手術が12月14日に決まり、私は手術成功祈願を申し込んで臨みました。事前の説明では、影の映った部分を百円玉くらいの大きさで切り取るとのことでしたが、執刀の先生は五百円玉より少し大きく切ったそうです。細胞は病理検査に回され、10日ほどで結果が出ました。すると、切り取った端の部分に2ミリほどのガン細胞が見つかったのです。先生からは「あなたはラッキーですよ。ここで見つからなくて、何年か後に大きくなっていたら大変でした」と言われましたが、ガンになったら死ぬものと思いこんでいる私は、悪い方にしか考えられず、落ち込みようは尋常ではありませんでした。

「主人とはまだまだ一緒にいたい」「大学生の2人の息子はどうなるんだろう」「親より先に死にたくない」と、何を見ても悲しくなり、食欲も湧かず、親先生のお写真を胸に抱いて一日中泣いていました。

明るく前向きな自分に

そうして落ち込むだけ落ち込んだあと、「仏様はどうしてこんなにも、私を喜ばせたり落ち込ませたりするのですか。教えてください」と、おすがりしました。答えを求めて、念法法語集や「くりかえしのテキスト」※、鶯乃声をひたすら読みました。

そしてたどり着いた答えが、「出てくることを喜ぶ」ということでした。何度も聞いたことのある教えですが、聞き流していたのです。そんな私に念法寺の住職先生は、「何か言われると小さなことでも落ち込んでくよくよ悩む。人を見て囚われ、ストレスを溜めてしまう」と教えてくださり、胸にストンと落ちました。

それからは、人から強い口調で嫌なことを言われても、腹を立てずに「私の悪い運命を取ってくださった。ありがとうございます」と感謝させてもらうように努めました。すると不思議なことに、いつもなら腹を立てるようなことに腹が立たなくなり、愚痴や不足を抱かなくなりました。気持ちも明るくなり、前向きな自分に変わることができたのです。

※念法眞教二代燈主様が、昭和57年から全国の念法寺を回られた「ご親教」で、勉強会のテキストとして使われたもの。念法信徒の生活の指針として、今も広く読まれている。

死を恐れず、仏様のお手伝いを

今年1月25日にも手術を受けました。ガンが見つかった周囲を切除し、リンパに転移していないかを調べるためです。今回は、「楽に病ませていただけますように」という思いでご祈願を申し込み、お写経も奉納させていただきました。そして、手術室に入るときには、「仏様、親先生、一緒に入ってください」とお願いし、麻酔が効くまで念法のご眞言を称えました。手術中は、実家の両親と主人が手術室の前に待機し、ずっとご眞言を称えてくれました。

目が覚めると、私は病室にいました。先生から、リンパへの転移はなかったと告げられ、「今まで手術をした中でも、一番早く見つかったガンだと思います。亡くなった友だちに感謝しなさい」と言われました。その言葉を聞いて、あらためて「出てくること、なってくることを喜ばせていただこう」と思いました。そして、「人は生かされている」「寿命で亡くなるのであって、病気では死なない」という親先生のお諭しも胸に収まり、「死を恐れず、寿命がある間は仏様のお手伝いを精一杯させてもらおう」と思いました。

仏様に感謝、病気に感謝

自分の心が変わると、ありがたいことばかりが続きます。この度、主人の了解を得て本山行事に参拝し、本山のご本尊様にお礼を申し上げることができました。専業主婦の私は、本山までの旅費のことを思って言い出しにくかったのですが、主人は快く送り出してくれました。

振り返れば、友だちの死を知って胸騒ぎしたことが、仏様のおはたらきでした。また、執刀の先生が大きめに切除していなかったら、発見が遅れていたはずです。早期発見できたおかげで、転移もありません。これまで、盲腸が破裂する寸前で主人を助けていただいたり、息子のひどいアトピーを助けていただいたりしましたが、私はなかなか変わることができませんでした。今回、仏様のありがたさを身をもって体感させていただいて、何事も明るく喜んで受け取る心に変わることができ、病気に感謝しています。