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娘が継いでくれた30年の信心

H・Y(53歳 女性 福井県)

長続きしない娘の仕事

25歳の娘は、短大卒業後にいったん就職したものの、人間関係がうまくいかず、トラブルにも巻き込まれるなどして職を転々としていました。それが昨年3月には、動物病院での勤めが半年経ち、ようやく順調に過ごしていると喜んでいたにもかかわらず「私には他にもっとしたいことがある。それに、いじめがあるから今のところを辞める」と言い出したのです。私が、驚きと腹立たしさ、先行きへの不安に体を震わせながら「少々つらいことがあるのは当たり前、それを乗り越えなければ何をしてもダメ。せめて2年ぐらいは今の職場で辛抱して働きなさい」と言うと、娘は「ただ単に今の職場が嫌で仕事を変えるのではなく、ステップアップしたいの。今後は新しいお店のやり方や技術を学び、資格を取るために学校に行きたい。いい加減な気持ちではない」と主張するのです。

結局、家族の反対を押し切り、娘は動物病院を辞めて、ペットのエステティシャンの資格を取る学校に通い始めました。

悪くなるばかりの家庭の雰囲気

動物病院で働いていた頃の娘は「自分もペットのトリマーのお店を持ちたい」と夢を語っていましたが、主人も私も「お金がかなり要るし、自分で店を持てるわけがない」と反対していました。私には「娘の気持ちも理解しなければ。できるなら夢を叶えてやりたい」という思いもありましたが、「女の子はある程度仕事をしたら、後は幸せな結婚を」と願う主人の気持ちもよくわかり、間に挟まれて悩んでいました。

一方、仕事を辞めた娘は「親と意見が合わないからといって、家を飛び出すような親不孝はしたくない」と言いつつ「いっそ夢も仕事も諦めて、結婚でもしようか」と投げやりになっていました。実際に何度かお見合いをしましたが、投げやりな気持ちでは良縁に恵まれるはずもなく、話はまとまりません。そのうち、娘が家でくつろいでいると、主人が「働かないのか」と問いただすなど、家庭の雰囲気は悪くなるばかりで、娘は「どうやって生きていけばいいの」と悩み、苦しんでいました。

娘と一緒に始めたお徳積み

そんな頃、娘は念法寺に電話をかけ、住職先生に自分の気持ちを聞いてもらっていたようです。そして、涙を流しながら思いを吐き出したことで、気持ちが少し楽になったようでした。その時娘は、住職先生から「悩み苦しみの中にいる今のあなたには徳が足りないのだから、徳を積ませてもらいなさい」と教わったそうです。そのことを後になって聞いた私は、娘が一番苦しい時に仏様、親先生にすがってくれたことが嬉しく、涙が出ました。そして、娘と一緒に私も毎月、写経供養をさせてもらうことにしました。

失業中の娘は、小遣いから毎日100円ずつ貯金していきました。この方法なら、無理なく、心から続けることができ、1ヶ月後に3000円貯まった時点で、お徳積みとしてお写経をさせていただきました。

とんとん拍子に開店、結婚へ

住職先生に話を聞いていただいて何かが吹っ切れたのか、娘は「私は人に左右されずに、仕事で頑張る」と言い、黙々と準備を始めました。主人とちゃんと話をして、「自宅でお店を出したい」という希望についても、承諾を得ることができました。また、娘を励ましてくれた近所の人が、お店のオープンを知らせるチラシを、得意のパソコンを駆使して作ってくれることにもなり、娘の顔はみるみる明るくなっていきました。

そのうちに、娘が通うペットのエステティシャンの学校で講師をしている方が、お店の開店をサポートしてくれることになりました。そして昨年11月、犬のエステ・トリミングサロンをオープンすることができました。そして気が付くと、娘と講師の方の交際が始まり、とんとん拍子に結婚まで話が進みました。また、いろいろ話し合うようになって親子関係も良くなり、いつしか仕事、結婚の問題が解決し、円満な家庭になっていったのです。

すべては念法とのご縁から

改めて実感したのは、「多くの人が幸せになっていただけますように」と祈りながらのお写経、お徳積みのすばらしさです。 娘と私は毎月欠かさずお写経を納めてきましたが、今では主人も一緒に納めるようになりました。また、家族で毎朝、多くの人の幸せを願い「人のお役に立つ仕事ができますように」と祈りながら、念法のご眞言をお称えしています。そのおかげでしょうか、娘のサロンに来てくださるお客さんは皆、「ここに来るとホッとする」「また来たくなるね」と言って喜んで帰っていかれます。

30年前、念法にご縁をいただかなければ、我の強い私は、不平不満ばかり言って、まわりの人のことを悪く思うようになっていたかもしれません。しかし、念法の教えを知り、実践させていただいたおかげで幸せになることができ、子どもたちにも信心を継承することができました。主人との結婚生活も30年を重ね、ようやく晴れ間がのぞく今日この頃です。